先日、パフォーマンスイベント企画制作者が集まったUSTREAM座談会に出席しました。
名前が示す通り、パフォーミングアートの舞台等に携わる面々が集まって、公演を制作する際のあれこれをざっくばらんに話す会を様子をウェブでライブ中継しました。
当日の様子はこちらで観る事ができます
→USTREAM「パフォーマンスイベント企画制作者座談会VOL.2」”公演をつくるということ”
当コラムでも度々触れていますが、最近、私の周囲では舞台熱が高いです。そのひとつの現れが、このような座談会という形になっています。
言い換えると、ジャグリング(より広く言うと「パフォーマンス」)というと、一番の活動の場は大道芸と言うのが現在のあり方かと思いますが、そこから一歩踏み出そうとする勢いを強く感じるのです。
そこで改めて考えると、舞台公演でジャグラーが生計を立てることは可能でしょうか。
これはジャグリングに限らないことですが、芸能一般で「舞台」のみで生計を立てられるのはごくごく限られた方かもしれません。
(すでに取り上げている通り、ここではいわゆる「営業」と「舞台」を分けて考えています。厳密に分ける事は難しいですが。)
とは言え、ジャグラーが舞台で生計を立てる、ということに関しては、私自身は希望の光を感じています。
その鍵のひとつは「ショーレストラン」。
ヨーロッパなどで活動するプロジャグラーのひとつの道になっています。店と契約を結び、連日自分の持ち芸を披露する。そのような場がいくつもある。
しかし、日本ではそのような場はポピュラーとは言い難いですし、個人的に見聞する範囲ですが、パフォーミングアートにフォーカスしたスペースが立ち上がっては消えて行くことが多く、残念であります。
もちろんショーを売り物にした店もあります。しかし、それらは、音楽ライブやダンスを取り上げたものです。隣接する分野ではマジックバーを挙げる事ができるかもしれません。
しかし、パフォーミングアートを、、、となると皆無ではないにしろ、極めて少ない。
さて、そのような希望と実情を踏まえて、はたしてジャグラーが活躍できる日常的なパフォーマンスライブは根付くのか。
東京に限った話をさせていただくと、日常的なパフォーマンス空間の創設を目指して、いくつか前を向いた取り組みがなされています。
冒頭で挙げた座談会に出席したメンバーで言うと、
クラブシーンの中でサーカスカルチャーを展開するミラーボールサーカス。
芸能のまち浅草で展開するコシダカパフォーマンスライブ。
手前味噌になりますが、数々の有名ミュージシャンも立った老舗ライブハウス「クロコダイル」で行う「パフォーマンスGIG in 原宿クロコダイル」。
そして、さらに手前味噌ですが、ジャグリングを気軽に観る/演る場の創設を目指した「門仲ジャグリングナイト」。
いずれも毎回会場にたくさんの方が足を運び、にぎわいをみせています。
もちろん、これらに限らず、様々な試みがなされていますし、もっと前から精力的に活動をしている方も少なからずいらっしゃいます。
これが「日常」になったときに、なお盛況を保てるか、そして、アーティストの生計を支える基盤になりうるか。
いまある活動は、これから来る(というか、来て欲しい)シーンのプロトタイプであります。クリアしなければならない課題は多いですが、今出ている芽が大きく育つように願います。
ビジネス(=「社会」に価値を提供し持続的に収益をあげるシステム)をつくりあげることはもちろんですが、それ以上に、実演者が積極的に「ライブシーン」に飛び込み、質の高いパフォーマンスを披露し、パフォーマー同士が切磋琢磨して行く必要があるでしょう。
その先に、はじめて舞台でのジャグリングが「仕事」となる道筋がひらけます。
(一言追記すると、レベルの高いパフォーマーは、今たくさんいます。それもこれからのシーンがたのしみな理由のひとつです。)
そして、この文章を読んで下さる皆様にも共感いただけましたら、ぜひ身近にあるパフォーマンスの場へと足を運んでたのしいひとときを過ごしていただけたらな、と思います。
実演家と応援して下さる方の好循環が生じて、はじめてムーヴメントに育ちます。
実演家が真摯に作品に取り組むのが第一ではありますが、日頃ジャグリングや大道芸、サーカスをたのしんでくださっている皆様に、今出始めてる芽を育てていただけると幸いです。
改めて、ご支援、よろしくお願い致します。
さて。
パフォーマンスライブだけが、舞台で活動するジャグラーの場ではありません。
・自主公演(≒カンパニー)を行う。
・演劇/サーカス等の公演でアクターとして出演する。
次回以降、順番にこれらの場について考えてみましょう。
ハードパンチャーしんのすけ
プロジャグラー。日本のデビルスティックのパイオニアとして、エンターテイナー、インストラクター、