先日、明治時代、大正時代に撮影された日本人芸人による足芸の映像が、ウェブで話題にされているのをみました。
私も思わず興奮してしまいました。スキルが高いことも、もちろん、おどろきなのですが、それ以上にこうしてかつての芸能の姿を目の当たりにできることに興奮を禁じ得ませんでした。
よいショーが時の流れに飲み込まれずに、記録されたことはとても意義が大きいですね。
さて、このコラムでは、今までジャグリングにまつわるどのような仕事があり得て、それを実現するためにはどのようなことを考えればよいのか、述べてきました。
今回は、そこから一歩進んで、ジャグラーとして実際に仕事をうけた時に気をつけてたいことを、実際に私が気をつけていることを中心に書きます。
◆ステージサイズにあった演目を選びましょう。
大道芸などでは、観客を前に寄せる為に、敢えて小さな演目を行うことが常套手段のひとつとして用いられます。しかし、例えば千人規模の客席があるステージでは、手元で起こるような小さな変化は見難くなります。客席にいるすべての方がきちんとみられる、大きな演目で構成するようにしましょう。
◆ショーのテンポに気をつける。
ステージが大きくなった場合、観客が反応する時間もいくぶんゆったりとしたものとなります。観客の反応をしっかりと感じて、それに合わせたアピールをして行く事で、客席との一体感がうまれやすくなります。
◆道具はきれいなものをつかいましょう。
ステージでショーを行うときに、道具に汚れが目立つと、その分観客の心象が悪くなります。もっと言うと、それだけでショーのレベルを低く見積もられてしまいます。可能ならば、室内(ステージ)用と屋外用とで、道具は使い分けた方がよいでしょう。
◆照明、音楽を活用しよう。
充分な設備の整ったステージでは、音楽や照明も考慮しましょう。演出のテクニックは、様々にあり、ここでは扱うにはテーマが大き過ぎますが、簡単なところでは、客席の照明をステージ上よりも暗くすることで、観客の集中度を高める事ができます。
◆スタッフの方にあいさつをしよう。
ステージはひとりでつくるものではありません。音響、照明、MCなどなど、たくさんのスタッフの方の支えがあって出来上がるものです。現場に入ったら、きちんとあいさつをして、コミュニケーションをしっかりと取るようにしましょう。そのことが、円滑なステージつくりに繋がり、ショーの成功につながります。
◆楽屋を気持ちよく使おう。
大きなイベントの場合、共演者がいることが多々あります。みんなが気持ちよく準備ができるように、楽屋の使い方に気をつけましょう。スタッフの方々同様、共演者はいっしょにひとつのステージをつくりあげる大切な仲間です。
はじめの話題に戻りますが、明治時代の芸は、平成の今に生きる私の心に咲き、強烈な印象を残しました。
今あるジャグリングの数々は、100年後の世の中ではどのようにうつるのでしょうか。
そんな100年後に思いを馳せつつ、今回のコラムがステージを行う際のヒントになったらうれしいな、と思います。
次回は、大道芸を行う際に気をつけたいことを取り上げます。
ハードパンチャーしんのすけ
プロジャグラー。日本のデビルスティックのパイオニアとして、エンターテイナー、インストラクター、