日本のジャグリングレベルは世界の中でどのような位置にあると思いますか?
ジャグリングの国別世界ランキングがある訳ではありませんが、ここ数年、日本人ジャグラーは世界の中で存在感を増してきています。それを物語る数字がジャグリングの国際組織のひとつであるInternational Jugglers’ Association(IJA)が開催するコンテストの成績。
ここ数年日本人が毎回ファイナリストに残っています。今夏に行われた大会では、6人の決勝進出者のうち、4名が日本人。そして、2名が入賞を果たしています。
現在活躍するプロジャグラーには、国際大会をステップとして、プロ活動をスタートし、国際的にも評価を得ている方も少なくありません。
「プロジャグラーとは、自分が今行っているジャグリングが全ジャグラーの代表である、という意識を持ってショーをするひとです。」と爽やかな笑顔で語ってくれたSenjyuさんもそんな輝かしい実績を持つひとりです。
今回インタビューさせていただきましたSenjyuさんは、2007年IJAが開催するコンテストのジュニア部門で優勝し、プロジャグラーとしてのキャリアをスタートさせました。現在は、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)に通いつつ、プロジャグラーとして様々な場所で活躍しています。
JugglerSenjyuさんのプロフィール
今回はそんなSenjyuさんがプロになった道、現在、そして、将来の夢を通して、「プロジャグラー」として活動する際に大切なことを明らかにしましょう。
Senjyuさんがジャグリングに目覚めたのは中学1年生のとき。文化祭でジャグリングショーをみると、その場ですぐにのめりこみ、文化祭そっちのけで練習しはじめます。翌日には東急ハンズに走り、道具を買い求め、そこからジャグリング漬けの生活が始まりました。
まずジャグリングをはじめた頃の熱の入れ様が突き抜けています。朝起きたらジャグリング。学校の休憩時間にジャグリング。放課後にジャグリング。暗くなったら公共施設に場所を移してジャグリング。帰宅して食事をすますと、インターネットでジャグリングの動画鑑賞。連日8時間以上の練習を重ねたそうです。
「このときはジャグリングがうまくなることが目的で、ただただそれがたのしかった。」と語るSenjyuさん。
ここで世界一を獲得する過程で実践していた練習を紹介します。
・手本となるひとをみつける。
・手本となるひとにお願いして動画を撮らせてもらう。
・動画を徹底的にみる。
・動画をまねる。
・形になってきたら、手本にしている方にコツをきく。
・きいたコツを参考に、試行錯誤して、自分の感覚に落とし込む。
最近はショーをつくるに当たって、積極的に他人の力を借りると言います。
音楽の編集が必要なら、サウンドクリエイターの方にお願いする。
振り付けが必要な箇所はダンサーの方に助言をもらう。
「自分に出来ないこと」を認めて、足りない部分を専門家に頼る。その根底には「観客の笑顔がみたい。」というプロジャグラーとしての目標があります。目標を達成するのに必要なことをきちんとする。まっすぐにゴールをみつめる姿勢が、とてもしなやか。自分で設定したゴールに向かって、自分をプロデュースして行く。
ジャグリングに対する熱と、自分の目標に向かって行くためのセルフプロデュース。プロジャグラーとして歩んで行くのに大切なエッセンスがここにあります。
プロジャグラーとして華やかなスタートを切ったSenjyuさんですが、現在はどのようにプロジャグラーとしての活動をしているのでしょうか。
「環境のおかげです。」
謙虚に語りますが、話をきいて行くと、積極的に環境をつかみ取っていることが分かりました。オープンマインドを持って、自分が惹かれるモノ/ひとにはとにかく積極的に飛び込んで行く。「今いっしょにご飯を食べたいと約束したひとが5人いるんですよ。早く日程決めないと!」
と目を輝かせていました。
実は今回、Senjyuさんに話をきこうと思った理由は、この軽やかさにあります。Twitter( @jugglersenjyu )でのやりとりを垣間みていても、コミュケーション能力の高さが際立っています。これは!と思ったひとと積極的に繋がって行く。
ひとへの興味の強さが、Senjyuさんがジャグリングのスキルを向上させた秘訣であり、そして、プロジャグラーとして活動の場を広げて行く原動力になっているように、今回話を聞いて強く感じました。
最後にSenjyuさんの夢をききました。
「世界中どこに行ってもひとをたのしませられるひとになりたい。」
そのために、来年から1年間、パフォーマンスでお金を稼ぎながらアメリカやカナダを旅する計画とのこと。
ひととひとがつながる。その結節点にジャグリングがある。Senjyuさんのジャグリングを通して、これからも笑顔がうまれそうですね。
Senjyuさんに学ぶ「プロジャグラーになる方法」
・鉄は熱いうちに打て。技術の習得しかり。行動を起こすことしかり。初動の素早さと密度が大切。
・手本となるひとをみつけ、徹底的にみて、まねて、試行錯誤しよう。
・セルフプロデュースして行こう。
・ひととつながろう。
Senjyu(長竹慶祥)
1991年3月6日生まれ。20歳。慶應義塾大学在学中。
2007年、アメリカ・ノースカロライナ州で開催されたIJAジャグリング世界大会Jr.部門にて初出場にして優勝。
"ダイナミックなディアボロの動きと繊細な体の動きが見事に調和された演技"として世界的に評価される。
帰国後、様々なイベントやメディアに出演。俳優の水嶋ヒロ氏にディアボロの指導を行うなど活躍の幅を広げる。昨年には最年少で日本ジャグリング協会の理事に就任。ワークショップ講師など、ジャグリングと社会の接点を増やすため、様々な活動に精力的に取り組んでいる。
ハードパンチャーしんのすけ
プロジャグラー。日本のデビルスティックのパイオニアとして、エンターテイナー、インストラクター、