毎月一回「門仲ジャグリングナイト」(略称 もんじゃナイト)というジャグリングライブを開催しています。
毎回4~5組のジャグラーが出演して会場を盛り上げています。先日5月のもんじゃナイトでは、京都のジャグリングクラブ「ジャグリングドーナツ」からジャグリングチーム「#2」が出演し、強烈なインパクトを東京の観客に残して行きました。
「#2」はジャグラー3人からなるチームで、個々のスペシャルな技術をベースに、情感たっぷりの世界をつくり出していました。もちろん、個々でショーをしたとしても見応えのある素晴らしいものがつくられるでしょうが、3人で演じることが相乗効果となり深みのある時間を生み出していました。
このようにひとりで行うのとはまた異なる豊潤な作品を創造することができるのが、集団創作の魅力でしょう。
集団創作のさらにその先にある形は、劇団、あるいはジャグリングで言えばサーカスでしょうか。
今まで当コラムでは、
舞台=新しい場
として、話題を取り上げてきました。新しい場をつくる、という意識です。
しかし、もちろん、既存の枠組みにも活動の場はあります。
それが「サーカス」あるいは「サーカス等を主題とした演劇公演」への出演です。
「サーカス」というと、現在日本で最もポピュラーなサーカスのひとつは、「シルク・ドゥ・ソレイユ」です。
「シルク・ドゥ・ソレイユ」はしばしば登録アーティストを求めるオーディションを行っており、日本人ジャグラーでも登録アーティストになったり、シルク・ドゥ・ソレイユのショーに出演している方がいます。
「シルク・ドゥ・ソレイユ」に限りませんが、オーディションをうけることは道を切り拓く有力な方法のひとつです。
オーディション情報を入手するのは、
・パフォーミングアーツに強い芸能事務所と連絡を取る。
・パフォーミングアーツに関連したイベントや舞台制作に携わるプロデューサーを連絡を取る。
・個別の劇団/カンパニーの情報をチェックする。
情報をこまめに集めるか、情報が集まるところに行く、ということですね。
サーカスにしても、演劇にしても、総合的な力が求められます。
例えば役者であれば、セリフを言うために、発声練習をしていればよいわけでなく、ダンスをやったり、感性を磨くために他分野の芸術に触れることを日常的に行います。
集団創作に参加するには、自分が得意なことができればよい、というわけでなく、総合的な表現力が要求されることが多々あります。
舞台で活躍したい!と思うならば、自分の強みをしっかりと伸ばしつつ、総合的なトレーニングを心掛けましょう。
もっともこれは、舞台を目指す目指さないに関係なく、ジャグリングのショーを職とするなら、誰にでも言えることかもしれませんが。この辺りのことは、当コラムの後半の話題として触れる予定です。
今まで連載3回を用いてジャグリングの舞台事情に触れてきました。
何故かというと、私の中でジャグリングの舞台公演が活発になる、という流れが、芸能として地に根を張ったものとしてジャグリングが育つために必要であり、かつ、今実際に舞台公演でのジャグリングが育って行く風を(まだまだ微かではありますが)感じるからです。
スキルの高いソロジャグラーは、今、日本には大勢います。そして、これからさらにその人数は増え、個々の技術も向上して行くでしょう。そのことには行く先々で出会うジャグラーを見て確信をもっています。
ショーとしてのジャグリングは、技術をみせるもの、というのがひとつの見方です。
しかし、そこを一歩先にすすめて、よりひとの心に届く作品をつくって行く。その根底に磨き抜かれたジャグリング技術や、ジャグリングへの深い洞察からくる新しいアイディアがあることは確かですが、それらを統合し、豊かな世界を構築して行く。
それらの積み重ねが、ジャグリングをより生活になじませ、より多くのひとに愛される日常的な活動として行くための方向のひとつです。
ハードパンチャーしんのすけ
プロジャグラー。日本のデビルスティックのパイオニアとして、エンターテイナー、インストラクター、